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自分の世界を広げる為に物語を考えてみよう3~狐と木こり10

普通は、態度や行動が言葉と違う人とコミュニケーションをとれば、誰でも戸惑いますよね?

これがもし、その行動をとった人よりも自分の立場が弱いなら、恐れを感じたり、自分に敵意があるように感じてしまうこともあります。

この相反する二つのメッセージを同時に与えることを、心理学ではダブルバインドとか二十拘束とか言います。
例えば母親が子供を叱るときに矛盾するメッセージを同時に与えると、子供は強いストレスを感じて混乱してしまいます。統合失調症にもなりやすいとも言われています。

顔では笑ってても言葉では「〇〇ちゃん、そんな悪いことをしてはダメ」などと言うのがそれに当たります。当然、子供は大人よりコミュニケーションスキルが少ない為、混乱するのも当然でしょうね。

また、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の心理学者であるアルバート・メラビアンが1971年に提唱した「メラビアンの法則」というのがあります。

人は他者と話をするとき、ただ単に言葉だけでコミュニケーションをしているわけではありません。言葉のコミュニケーション以外に視覚情報や聴覚情報など、言語に頼らない非言語コミュニケーションを意識的または無意識に感じとってコミュニケーションをとっています。

要するに、メラビアンの法則を用いれば、「矛盾した情報を与えられた人は、ボディーランゲージや見た感じの方が、言語によるメッセージの内容よりも優先してしまう」ということです。

こう言われると、キツネが木こりにお礼を言えなかったのは当然ですよね?
やはり言った事と行う事を一致させないと、「人にもなかなか信用されない」って事ですかね?
しかし、もっと怖いのは「自分自身に信用されなくなる事」かもしれません。

と・・偉そうな事を言いつつも・・・なんと・・・このお話しの中で「木こり」を「猟師」と三か所も書き間違えて矛盾する情報を提示しちゃいました。私こそ信用されませんね(泣)すみませんでした。

ちなみにもう直しちゃいました。でも、意外と読めたでしょ?(笑)いやいや・・・本当にすみませんでした。

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狐と木こり9

木こりは怒ったようにキツネを呼び止めました。

「おいおい、命の恩人に対して礼も言わないのか?
恩知らずなキツネだなぁ。」

キツネは答えました。

「あなたが言葉の通りの行動を取っていたら、私は何度もお礼を言ったでしょう。
でも、あなたの手は、言葉とは反対の動作をしていましたよ。」

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狐と木こり8

「そうかい。あんたが見てないなら、こっちじゃないのかもしれないなぁ。」
「どこに行きやがったんだ? 向こうの方を探してみるか。」

猟師は木こりが小屋を指差していることに気付かず、立ち去っていきました。
木こりは独り言を呟きながら、キツネのいる小屋にやってきました。

「うーむ。教えてやった・・のに・・・」

木こりは小屋の前まで来ると、キツネに声を掛けました。

「おーい、もう猟師は行っちまったぞ。」

キツネは小屋から出てきて、木こりの顔も見ずに立ち去ろうとしました。

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狐と木こり7

キツネを追って、猟師が木こりのところにやってきて尋ねました。

「あんた、俺の獲物を見なかったかい?
すばしっこいキツネだよ。
こっちの方に来たはずなんだが・・・」

木こりは答えました。

「さぁな。知らねえなぁ。」

「知らない」と言いながら、木こりはキツネが隠れている小屋を指差しました。

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狐と木こり6

木こりは暫く考え、答えました。

「うーん・・・」
「うーん、そうだなぁ。じゃあ、あの小屋にでも隠れていろ。」

キツネは木こりに言われた通り、小屋に隠れることにしました。

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狐と木こり5

「木こりさーん!助けて下さーい!」

キツネは逃げて、木こりに助けを求めました。

木こりはキツネに尋ねました。

「どうしたんだ?」

キツネは木こりに必死に頼みました。

「猟師に追われているんです。助けて下さい、木こりさん。」

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狐と木こり4

「ウォン!ウォン!ウォン!ウォン!」

猟犬が吠えます。
その猟犬の飼い主である猟師が駆けつけてきました。

「どうしたんだ? 何か見つけたのか?
あれはキツネじゃないか!
よしっ!行け!」

猟師は猟犬を駆り立てました。

「ウォン!ウォン!ウォン!ウォン!」

猟犬がキツネに飛びかかろうとします。
キツネは必死に逃げました。

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狐と木こり3

木こりがそう言うと同時に、木が倒れだしました。そしてキツネは逃げ出します。

「わぁっ! ホントだー! 逃げろ―!」

倒れてきた木に驚いて、キツネは走ってその場から離れました。

「あぁ、ビックリした。本当に木が倒れてきた。
木こりさんが教えてくれなきゃ潰れてたよ。
木こりさん、いい人だな。」

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狐と木こり2

キツネは木こりに尋ねました。

「木こりさん、木を切っているんですか?」

木こりはキツネに言いました。

「ああ、そうさ。木こりだからな。
木を切るのが仕事だ。」
「それより、そんな所にいると危ないぞ。木が倒れてケガしても知らねーぞ。」

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狐と木こり1

『カーン、カーン』『トーン、カーン』
木こりが木を切っています。

『カーン、カーン』『トーン、カーン』

キツネは木こりが木を切っている音に耳を澄ませます。

「いい音だなぁ。何の音だろう?」
「ちょっと見に行ってみるか」

キツネは音のする方へ行ってみました。